LCDをギターのネック内に埋め込んだ。
基本はドリルギターとして作っていたものをアップデートした。LCDにギターのコードや歌詞、TABを表示させたり、内蔵している6軸センサの動きに合わせて何か表示したり…色々と遊べるかなと。
ネックにLCDを埋め込みとか、あまりやらないとは思うけど、手順を記しておく。ざっくり工程としては…
- 指板剥がし
- ネック・指板削り
- LCD用アクリル合わせ
- タイトボンドで合わせ
- エキポシ樹脂で凹凸・溝消し
- 動作確認
■ 指板剥がし
まずは定番の指板剥がしから。フレットレスと前にLEDを埋め込んだ時にやっているから、今回もアイロンで熱を加えながら指板をゆっくり剥がしていく。
■ ネック・指板削り
LCDを埋め込む場所を決めたら、ネック本体の方にLCDを埋め込むスペースを作る。指板はローズウッドでそれなりに硬いものの、薄いというのもあって、基本はネック側にLCDを固定することにした。イメージとしてはこんな感じで。指板の弦側はアクリルを埋め込むために、斜めカットする。
指板側はLCDの面が見える空間、そして弦や指圧から保護するためにアクリルを埋め込む。そしてネック側はLCDの固定・配線をする。
ネック部分にLCDを固定出来るようになったら、今度は指板の方に思いきりよく穴を空けてひたすら削っていく。最初は彫刻刀で出来るかな?と思ったものの、ローズウッドは硬い方なので刃が全然入っていかない…というわけで、指板にドリルで穴をあけてから、それをサイズに合わせて削ってヤスることにした。
指板側もLCD用の空間を用意して、加速度センサの値を表示させて動作確認もOKそう。
■ LCD用アクリル合わせ
LCDを入れるために指板に空けた空間を埋めるために、アクリルをLCD部(指板)に合わせていく。ここで注意したのが、
- 押弦したときに、アクリル部分に圧がかかるから、LCD面とアクリルは↑の図の通り接していない。
- アクリルと指板の接着はエキポシ樹脂を利用する。
- 弦側アクリル部も上面はエキポシ樹脂を塗って、アクリル面自体も押弦からは直接的には保護する。(フレットレスギターなので、指板全体に薄く樹脂を塗って弦から保護するようにはしている)
アクリルは東急ハンズで1mmのをカットして利用した。1mmでも64×128のサイズなので、耐久性はメチャクチャ強い。
このまま1−2日、完全に硬化するまで放置しておく。そして樹脂の凹凸が指板側に出来るから、荒い〜細めの水ヤスリで指板の平面を形成してあげる。
■ タイトボンドで合わせ
指板、ネックともに出来たら、ドキドキの指板合わせに。タイトボンドを指板・ネック側に塗りたくってクランプで接合する。ここで接合したら後戻りは出来なくなるから、わりとドキドキする瞬間だったりする。
クランプしても本当に大丈夫か?動作確認をしながら行った。一応ちゃんと動いてはいたから、電源を落としてボンドが乾くまで1-2日放置した。
■ エキポシ樹脂で凹凸・溝消し
指板とネックが合わさったのを確認したら、最後に指板・ネックのタイトボンドがはみ出ていたり、溝が出来ていたり、指板保護と弾きやすさ(ネック側で指をスライドする時に、はみ出たボンドや溝があると弾きにくい)のために、全体を軽くエキポシ樹脂でコーティングして綺麗にヤスって完成した。
■ 動作確認
ボディと合わせて動作確認をすることに。電源はバックプレート内にLiPoもしくは電池で動作できるようにしている。LCDの表示も問題なし。
6軸の値を表示させるようにしておいたのだけど、最終的な目的「コードを表示させて、誰でもLCDの表示を見ながら簡単に弾ける!!」というために、コードとTABを表示させるようにした。
コードの表記はNW経由で、クラウド側(インターネットを介して)から自由に表示することが出来る。
なーんか…弦が邪魔でうまく見えないような気が…とりあえずチューニングしない弦を張ったままの状態で、実際に見ながら弾けるか?試してみた。
あれ?あぁ…全然だめだ…弾けねぇ。LCDあっても無くても関係ないし。というか、このギター….フレットレスだからポジションを表示しても意味なくね?というのを弾いてみてから気づいたw
主に使うコードは覚えていて、1ポジのネックをいちいち確認して弾かないっすね。そして、よくよく考えたら、ネックの指板側を見ながら弾くこと自体がムリゲーだったw(製作する前に気づけば良かった…orz)
ただ、弾いていて別の事も発見した。ドリル(モーター)駆動用のスイッチを使って、ドリル音スイッチング奏法が出来ることが分かった。
フロントピックアップを潰してモーターを2個搭載(速弾き用)していて、セレクタがキルスイッチの状態になっている。だから、通常のスイッチング奏法+ドリル音も混ぜた鳴らし方が出来る。
とりあえずは当初の目的通り、LCDは埋め込んで弾けるギターは出来た。ただ、コードを表示させてもなぁ…って気がしてきて、6軸に合わせてなにか表示した方が良さげかもしれない。
今の所のスペックは以下の通り。
・端末:Particle Argon ESP32-D0WD 240MHz Xtensa Dual Core, Nordic nRF52830 ARM Cortex-M4F 64MHz
・NW:2.4GHz WiFi, Bluetooth 5
・センサ:MPU 6050(6軸)
・その他:Dual Motor Driver、64×128 LCD、SK6812(full color led)